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ご先祖供養[お仏壇とは?(由来と意味)]
仏教伝来は欽明天皇の時代(522年)に百済の聖明王からの貢物として釈迦の金剛仏一体と幡蓋若干・経論若干巻が献じられた事から始まり、様々な事柄を経て、その後聖徳太子(574〜622)が仏教精神を政治に取り入れ(憲法十七条第二条)天下に公示されたのを機に貴族社会に広がりました。当時は加持祈祷や守護信仰がその多くを占めていました。
日本で仏壇が祭られるようになったのは、1320年ほど前、白鳳685年に天武天皇が「諸国の家毎に仏舎を造り仏像を安置して礼拝するように」と命じたことに始まると言われています。しかし、その頃はごく限られた裕福な階級や、諸国の国司・役人だけが仏様を祀っただけですから、今日一般家庭で見るような仏壇の直接の起源とは考えられません。
全国的に仏壇が一般庶民の各家庭に広がったのは江戸時代になってからです。それは、徳川幕府のキリシタン禁制と民衆の統制を目的とした「宗門改め」の政策が関係していると思われます。お寺が、戸籍を掌握するため、人々は各家ごとに所属の寺院を定めねばなせず、仏教徒であることの証明として半ば義務的に仏壇を置かざるを得なかったのだと推測されます。また、幕府の政策とは別に、浄土真宗が仏壇の普及に果たした役割は重要です。真宗は在家主義を強くおしすすめ、「講」と呼ばれる組織を発展させました。講の開かれる家は寺院の代わりとしての役割を担うことになったため、仏壇を置く必要があったのではないでしょうか。こうして、真宗では各家に仏壇を備えることが広まり、他宗にも影響を与えていったのです。
仏壇の必要性を説いた蓮如上人
伝教大師最澄が開いた比叡山延暦寺で修行した祖師たちが、仏教の教えを積極的に庶民に説こうとしたのです。法然は浄土宗を開きました。法然の弟子の親鸞は真宗を開きました。道元は曹洞宗を、栄西は臨済宗を、日蓮は日蓮宗をそれぞれ開きました。こうした祖師達は貧富の差を越えて教えを説き、それによって庶民への仏教が浸透していくのです。そして時代がさらに下がって室町時代の中期のことです。真宗に蓮如という指導者があらわれます。蓮如上人は強力でカリスマ的なリーダーシップを持ち、当時は弱小教団であった真宗本願寺派を布教によって勢力拡大していきます。その蓮如が、仏教の信仰を深めるために聞法会を各地で開き、皆が仏壇を持つように説くのです。これが庶民が仏壇を持つようになったきっかけです。現在、真宗で用いられている金仏壇という仏壇形式は、蓮如の「お袖縋りのお文」で説かれた阿弥陀仏の姿がもとになっているといわれています。
「お袖縋りのお文」には次のような内容が書かれています。
すなわち、「われわれ凡人を救ってくださるのは阿弥陀様だけですから、ひとすじに阿弥陀様の袖にすがる思いで助けてくださいとお願いすれば、阿弥陀様はお喜びになって、その身から八万四千の光明をはなって私たちをその中に包みこんでくださる」と。金仏壇が、金箔やさまざまな装飾で彩られ、荘厳な姿をしているのは、こうした光明を表現したものです。真宗の門徒はこの荘厳な金仏壇の中に阿弥陀様の光明を見て、極楽浄土に思いをはせていたのです。
そして真宗におけるお仏壇というのは、家の人がお参りするための場所であると同時に、門徒集団の聞法道場としての役割も果たしていました。門徒たちは毎月のように当番の家をまわり、その家の仏壇の前で、報恩講など様々な行事を行うのです。行事はすべて阿弥陀様の前で念仏を唱え、阿弥陀様にお祈りすることの実践でした。ですから仏壇も、阿弥陀信仰の場であると考えられており、先祖供養の場としての意味合いは薄いものだったのです。
真宗では今でも仏壇の中には原則的に位牌を置くことはしません。真宗門徒にとって、仏壇を家に置く目的はあくまでも阿弥陀様への祈りを捧げることなのです。
そのようなお仏壇の構造は、宗派の違いや仏壇の大きさなどの違いから若干異なる場合もありますが、原則的には仏教で説く世界のすがたをあらわしています。お仏壇にとって重要なのは、なんといっても中央部にあるご本尊を安置する台座で、「須弥壇」とよばれます。その名は須弥山からきています。古代インドの世界観によれば、世界の中央には須弥山という巨大な山があり、その頂上には帝釈天が、中腹には四天王が住み、ふもとは四大洲といって、人間が住んでいるとされています。仏壇の中の須弥壇の上は、この須弥山の上を表し、人間の世界を越えた尊い場所、つまりこの壇の上に仏様をまつることによって世俗の世界を超越した、理想の世界にいる仏様を礼拝するという意味があるのです。
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